フェリック王太子の作戦2
「まずい!街に戻れ!急げ!」
コンヴィル王国が待ち構えていたことに気づき、傷が浅いうちにニースコンの街に撤退を判断するムスターデ帝国の隊長。
「逃すな!」
逆に、ニースコンの街に逃げ込む前に殲滅を狙うコンヴィル王国軍。しかし、ニースコンを無視して進軍することをアピールするために、多くの将兵は既にニースコンを通り越してラーフェン王国側に進めていたため、ムスターデ帝国の逃げ道をふさいで囲むことができない。
また、弓兵と魔術師団員は基本的に騎乗ではなく徒歩であったため遠隔攻撃の手も緩まり、ムスターデ帝国軍がニースコンに逃げ込むことを許してしまう。
「良し、ここからは逆襲だ!」
との合図を受け、城門の上や周りから、追いかけて来たコンヴィル王国兵に対して弓矢や魔法による攻撃が開始される。
特に城門付近にまで到達して来ていた騎馬兵に対して、以前と同様に王級と上級の魔法使いによる≪霧氷≫≪氷結≫魔法により多大な被害を受けてしまう。
徒歩で追いついてきた王国魔術師団員が、魔力回復ポーションを飲みながら魔法攻撃を行い、場合によっては魔法カードも消耗しながら応戦したが、既に王国兵が蹴散らされ城門まで閉められていた状態から劣勢を覆すことはできなかった。
「もう良い、撤退しろ」
フェリック王太子は絞り出すように決断を下し、王国兵をニースコンの街から遠ざけさせる。
「街に閉じこもられたのを強引に攻めるとこちらの被害も多くなってしまいます」
「分かっている!遠巻きに包囲するだけで良い」
ニースコンの帝国軍も積極的に打って出ることも無く、籠城作戦に切り替わり、にらみ合いが続くことになった。




