フェリック王太子の作戦
モージャンから、フェリック王太子が率いる派遣軍がニースコンに向けて出発したのはそれから幾日も経っていない。
王都方面からかき集めて来た食料等の物資を、近隣の街にも分散したニースコンからの避難民達に配布するための部隊は留守番としてあり、配布が終わればモージャンに戻ってモージャンの守備に追加参入することになっている。
それでも以前からのヴァランタンを司令官としていた派遣軍とは比べ物にならない規模の将兵がニースコンへ向かうので、モージャン住民や避難民達はニースコンが解放されると信じて声援で見送る。
そして数日かけての行軍の後、ニースコンの街が遠目に見えるところで小休憩をとる。
「ここからは側面、ニースコンからの帝国兵の襲撃を警戒しつつ、ラーフェン王国を占拠している帝国軍に向けて進軍する」
帝国側の間諜がどこで聞いているか分からないため、あくまでも素振りだけのはずのラーフェン王国内への進軍を宣言する。部隊長以上の者達は認識しているが、隊員達には本当のことを伝えられていない。
完全にニースコンを無視して通り抜けたと思われたタイミングで、ニースコンの城門が開き、帝国軍が騎兵を先頭に追いかけてくる。
「俺たちを通り過ぎようなどとふざけた奴らだ。痛い目に合わせろ!」
「コンヴィルなど弱兵の集まり、蹴散らしてしまえ!」
「簡単なものだな。作戦通り応戦し、開いた城門に攻め込むのだ!」
背後からの攻撃に戸惑っていたコンヴィル王国兵たちも、王太子の掛け声で作戦であったことを知り、方向転換して帝国兵を迎えうつ。最後尾には通常以上に盾兵が用意されており、さらに弓兵、王国魔術師団員による遠隔攻撃が発動された。上級魔法使いも何人も連れて来ており≪火槍≫≪氷槍≫などの上級魔法が、大盾で勢いを殺された帝国兵に降りかかる。




