ニースコンの火事
その夜から毎夜、ニースコンでは不審火があちこちで発生するようになった。
「くそ、今度はあそこで火の手が上がっているぞ!」
「仕方ない、お前とお前が行ってこい」
「ゲッツェ将軍、正直なところ兵士たちの士気は下がりきっております。こう毎夜に火事を起こされたら寝不足になっております」
「あいつらも自分達の街だったのに燃やすことをいとわなくなったのだな。老人以外が街中に潜り込んでいるはずだ。そいつらはまだ見つからないのか?」
「は、もちろん捜索はさせているのですが、空き家だらけのこの街を、我々の手数だけでは追いつかず」
「嫌がらせだけで終わるはずが無い。本番に備えろ。踏ん張りどころだぞ」
「は!」
「ヴァランタン司令官、いよいよ、ですな。あれから毎夜に火事が起きていることが遠目からも分かります。相手も相当疲労が溜まっているでしょう」
「あぁ、本来は守るべき街を少しずつでも燃やすことになった無念。冒険者と一緒に潜入した領兵たちは特に、であろう。それも今夜に終わらせる!」
こっそりと城門に近づいているコンヴィル王国の派遣軍。まだフェリック王太子達の援軍は到着していないが、だからこそ油断していることを期待しての夜襲である。その事前に火付で帝国兵を疲弊させる作戦である。
「よし!内応者が城門を開けたぞ。今だ!今こそニースコンを取り返すのだ!」
「「おぉー!」」
夜の暗い中、城門にコンヴィル王国の将兵が押しかけたところで、その集団に対して氷魔法が発動される。
「急に止まるな!後ろがつかえてしまうだろうが!」
「違う、凍らされたんだ」




