ガニーでの短い平穏
帝国兵の侵略を撃退し、ガニーの街にテルガニ家の敷地を確保したジェロたちは、魔法や魔法の袋を使って、敷地の整地作業に明け暮れている。昼間は土木作業という名の魔法訓練であり、ジェロは休憩時にアルマティと一緒にポーション調合を行い、手元に残す最低限以外はヤンクイユ商会に販売することで屋敷の整備費用に当てようとしている。
夜にはジェロは悪魔魔法などの訓練をこっそりしている。
神殿と自身の敷地の南側の東西の道路の整備が、神殿から東側すべて終わったところで、今度は敷地の塀の製作に取り掛かる。今までは街の端とはいうものの木製の適当な塀であったが、先日の侵略を踏まえて≪石壁≫で全て囲うことにしたのである。魔法訓練に対する目隠しの意味もある。道路側は自分や家臣の家の出入り口にもなるので、まずは外側の円弧の曲線部分である。
上級土魔法≪石壁≫までを習得できているのはジェロ以外にアルマティだけであるので、ヴァルを含めた3人分で順次進めている間に、中級土魔法≪土壁≫までを習得したコンスタンやリスチーヌ達は、大まかな敷地内での建物の位置決めなどの“縄張り”に励んでいる。初級土魔法≪粉砕≫が使える他の者たちは出てきた大きな岩などを処分したり、邪魔な木々を切り倒して魔法の袋で移動したり、空き地で馬を遊ばせたり、孤児たちと遊んだりもしている。
そうこうしているうちに、いよいよイドの家の間取りも決まって建築が始まるとのことで、大工たちに心付けを配って着工祝いをする。
イドの家の次はレナルマンの家、そのあとは馬屋や本邸に取り掛かるという。ジェロは本邸の間取りにたいして知見も無かったので、侯爵家で働いていたマドロールが中心となってリスチーヌやイドの奥さん等の女性陣の意見を聞きながら大工達と設計をしていたようである。ジェロの希望の図書室やゆっくりできる風呂場、皆と食事ができる大きな食堂、調合室などは元々考えられていたことを聞けば、後は完全にお任せである。
自分の敷地の石塀が終わったので、神殿側もやろうかと相談を始める、そのような平穏は短い間に終わってしまったようである。
屋敷予定地で働いていたジェロ達のところに、メオンが馬車に乗って、今から一緒に領主館に行って欲しいとやって来る。




