ガニーの大火
『ジェロ、ガニーの街よ。街全体が燃えているわけじゃないみたいよ!』
『良かった。でもどこだ?燃えているのは』
『あれは門の付近ね。門だけでなく近くの家屋も燃やされているみたい』
ガニーの街は、国境のニースコンと違って防衛設備は簡易である。そのため街の全てを立派な石壁で囲うようなことは出来ていない。盗賊達に襲われない、少々の魔物が攻めてきても対抗できる程度で今までは大丈夫だったのである。
城門を破らなくても、街の周りの空堀は本気で兵士たちが攻めるのであれば少しばかりの時間稼ぎにしかならない。しかし、多くの兵士を街内に送り込むには門とそこから続く大通りを使う方が効率的であり、そこが狙われたのであろう。
『あれか。確かに門の辺りが大火事だな。ちょっと先の冒険者ギルドでは冒険者が立て籠っているのか兵士が取り囲んでいる。まだ持ち堪えているんだろうな』
『あっちの領主館も狙われているけれど、館の入り口で戦闘中のようね』
『孤児院は?』
『あ、散らばっている兵士たちが!』
『フロ姉!』
街に入り込んだ帝国兵たちが松明を手にあちこちに火をつけてまわろうとしているのが見える。そのうちの何人かが神殿の敷地に入っていくのが見えたのである。先程までよりもさらに速く神殿に向かい、兵達が入って行った大広間の扉をその勢いのまま飛んで入る。
目に入って来たのは、血のついた剣を再び振り上げる兵士であった。魔法を唱える頭もなく、単なる勢いに任せた体当たりでその兵士を倒すと、血を流しているローランスの横に立つ。少し離れたところでは、こちらも血を流しながら子供の盾になろうとしているフロラリーに剣を振りかざす兵士が居た。
「フロ姉!」
≪飛翔≫の勢いは無くなっていたため、半ば無意識で発動した≪氷結≫でその兵士を拘束する。そのジェロに対して、突き飛ばされた先ほどの兵士が
「この野郎!」
と剣を振り上げて来たが、同じく≪氷結≫で拘束する。




