王国魔術師団へ帰還報告3
「マドロールと申します。どうぞよろしくお願いいたします」
「はい、よろしくお願いいたします。で、ラロシェル団長、この方は?」
「どうぞ差し上げますのでお使いください」
「はい!?」
「ご説明が不足しており申し訳ありません。この者は犯罪奴隷です。貴族ともなれば秘密が多くなるため、絶対に情報を漏らさない奴隷を抱えるのが普通なことはもうご認識ですよね。上級貴族では、見栄えも悪くなく護身もできる執事や秘書を何人も抱えるのが常識でして。私も王国魔術師団長という大役を預かる侯爵ですので何人かおります」
「だからと言ってそんな簡単に人をやり取りなど」
「先ほどもお話ししましたように、貴族社会のことに不慣れなテルガニ子爵を良いようにしようとする者たちが居ます。私にも下心が無いわけではありませんが、既に非常勤講師になって頂き、こうしてお付き合いできている関係を崩したいわけではありません。犯罪奴隷ですから主を変えますと私の命令ではなくテルガニ子爵の命令が絶対になります。銅級冒険者でもありますので護身も大丈夫ですし、貴族関係のことについても仕込んでいますのでご心配なく」
「そうは仰いますが」
「では、貴族になられて、後継者の報告は済まされていますか?一代限りの名誉貴族でないのですから、事故や病気などの万が一に備えて王城に登録するものですが」
「いえ、存じておらず、まだです」
「そのようなところですよ。さて、どうぞこちらへ」
考えていなかったことに気を取られている間に図書室にまで案内された上で一冊の本を前に出される。
「ルグミーヌ王国に負けていられません。こちら、現在の魔術師団員で習得した者はおりませんが、きっとテルガニ子爵には可能でしょう。どうかムスターデ帝国との戦いでもご活用ください」
中身は王級風魔法の≪爆雷≫であった。上級≪雷撃≫の範囲攻撃ができるものであり、≪雷撃≫と同じようにしびれるだけに威力を減らすことも踏まえると使い勝手がかなり良さそうであり、手の上で転がされているとは分かりつつ研究ノートに必要箇所を転記しながら読み込ませて貰う。




