ルグミーヌ王国へ
王都から離れたところで使節団は小休憩となった。
国家としてのイベントである出発のセレモニーは終わり、正装から着替えるタイミングとのことである。
ユゲット、ジャクロエの2人が王女達への飲み物の差し入れの後に、ジェロのところにもやってくる。
「ジェロマン様、どうぞお飲み物です」
「え?私のことはどうかお気遣いなく。王女殿下、王子殿下のことだけに」
「そういうわけにはいきません。王女殿下たちの護衛隊長でもあるテルガニ男爵ですので」
『アピールが強くなったわね』
『どうしたら良いのか……』
「テルガニ男爵、こちらのお美しい方は?」
避けられていたはずのクロヴォン・タルブに声をかけられて驚く。
「はぁ、モージャンの街の領主ルベリート・バンジル・モージャン子爵のご令嬢、ユゲット・バンジル様と、モージャンの騎士ジャクロエ様です」
「ユゲット様、ジャクロエ様。こちらはこの度の護衛隊の王国魔術師団員のクロヴォン・タルブさんです」
「ジェロマン様、どうか私たちのことは呼び捨てでユゲット、ジャクロエとお呼びください」
「そんなわけには……」
「あ、あの。タルブ準男爵の嫡男、クロヴォン・タルブです。どうぞよろしくお願いいたします!」
クロヴォンが話に割り込んで挨拶をするが、ユゲットは失礼にならない程度にあしらい、
「ジェロマン様、ではまた次の休憩時に」
と去っていく。
「テルガニ男爵、なぜあんなに親しげなのですか?」
「モージャンから王都までの王女殿下たちの護衛、2週間の道程でご一緒しただけです」
「ではもっと長いルグミーヌ王国への道程で……」
クロヴォンの独り言に対して、周りからの目が生暖かい。
『ジェロが頑張らなくてもユゲットを奪われそうにないわね』
『俺は関係ないぞ……』




