山での襲来2
『あれは≪火炎≫ね。大丈夫、ジェロの≪結界≫で遮断できるわよ』
ヴァルに後押しされながら≪結界≫を、火魔法使いの射線上に大きな盾のように発動すると、≪火炎≫が壁に押し当てられたようないびつな形で燃え上がり消えていく。
「なんだと!俺の自慢の火魔法が!くそ、もう一度!」
再度≪火炎≫を発動するが同じ結果に終わる。
「先生!何しているんですか!やばいんですよ、こいつら手ごわいんです!」
「くそ、こうなれば奥の手だ」
懐から魔法カードと思われる物を出して差し出す男。
「あれは?こんなところで使うなんて勿体ない!」
焦ったジェロは≪消音≫魔法で男の声を奪ったうえで≪氷結≫で動きを封じる。
「流石ジェロさん、こっちは任せてください。あいつを確実に確保してください」
イドの声に従い、通りがかりに切りかかってくる盗賊へも日本刀を構えておきながら≪氷結≫で動きをとめて魔法使いのところまでたどり着く。
念のため手に握っていた魔法カードや杖を取り上げつつ、身体をロープで縛り付けて一息つく。
『なんか古代魔術のカードに見えたけど後でしっかり見よう』
『本当、ジェロは戦闘よりもそっちに興味があるんだから』
『いや、まぁ、あっちも目途がつきそうだし……』
事実、中堅の冒険者たちにすると数に頼っただけの盗賊の戦闘力では倍の人数がいても問題が無いようであり、途中からは武器を放り投げて降伏して来るようになった。
切り倒した者が完全に死亡したか確認しつつ、降伏して来た者を縛り上げながら装備を取り上げていく。
落ち着いたところで、小さな怪我をした味方に≪治癒≫魔法を発動しつつ≪土壁≫の一部を取り消して中のメンバに状況を伝える。
残した土壁で王女達から見えないところに生き残りを連れて行き尋問するのはイドやレナルマンたちの仕事である。




