アナトマ商会、そして領主館へ
モージャンの街に入った後は、アナトマ商会の場所がわかるジェロが先導する。
「さすがジェロさん、顔が広いですね」
「いや、たまたまですよ」
元々モージャンの冒険者の冒険者であったリスチーヌから賞賛されながら向かう。
「ジェロ様、お久しぶりです。今日は多くの方とご一緒でどうされました?」
「アナトマさん、ちょっと内密のお願い等がありまして。急で申し訳ありません」
「はい、他ならぬジェロ様のこと。こちらへどうぞ」
広めの部屋に案内されて、あらためて挨拶になる。
「アナトマさん、まずお詫びをさせてください。門で勝手にあなたの名前を使ってこの方達を街に入れてしまいました」
「はい、何か理由があるのでしょうから結構ですが、この方々は?」
「それが名前をお伝えすることがはばかられる方達でして。何とかこの方達を領主館にこっそりお連れできないでしょうか」
「わかりました。何も伺いません。領主館へはうちの馬車に乗って頂けば入れますよ」
「アナトマさん、ありがとうございます!」
アナトマ商会の馬車2台に、ラーフェン王国の4人と、アナトマ、ジェロ、イド、レナルマンの4人に分かれて乗車して領主館に入る。
「冒険者ギルド職員のジェロマンと申します。ニースコン領主様からのご指示で参りました。どうか領主様にお取次を。またその前にこちらの方々のお支度のお部屋を借用させてください」
緊張したジェロが言うべきことを勢いで一気に話してしまう。
「出入りしている商会のアナトマ、そして彼が認めるそのギルド職員の身分証。かしこまりました」
用意された部屋で、魔法の袋から取り出したラーフェン王国の鎧に着替える騎士達。また王女たちもニースコンの領主館で見た貴族らしい服に着替えて、領主との面会を待つ。




