ノルトブルクでの騒動3
「では。私は衛兵の伍長、ウルリヒと申します」
衛兵の詰所にいた男性なので、単なる兵卒と思っていたのに、一応は下士官になる伍長と言われてこっそり驚くジェロ。
「たかが下士官程度で士官、大尉のコンラート・グラーフ様に逆らうのか?」
引き続き大きな声で威圧してくる男の発言は無視してウルリヒが話を続ける。
「それで、あなたは?」
「はい、ジェロと申します。商人の端くれのようなものですが、ここノルトブルクには冒険者の証で入らせて貰いました」
ジェロが木級の冒険者の証を見せる。
「たかが木級の冒険者が!」
その声を引き続き無視するウルリヒが、経緯を改めて聞いてくる。
「はい、あちらの食事処でこちらの3人と食事をしていたところ、この方達がこの3人に対して酒の相手をするように求められたのです。お断りしてもこのような剣幕ですので、ここに逃げてきた次第で」
「なるほど。それは事実ですか?」
「は!そうだ!この街をまもる我らの話を無視したこいつらは不敬罪だ!代表としてこの男を牢に入れろ!どうせどこかの二等国民であろう」
「はぁ。この男性の発言内容を否定されないのですね……ムスターデ帝国にも法というものがあります。我ら衛兵はその法にもとづき住民たちをまもるのが務め」
「ごちゃごちゃとうるさい!」
「お静かに願います。またあなたは先ほど往来で住民を馬ではねていましたよね。部下にその住民の怪我の様子を見に行かせましたが」
その様子を見に行ったと思われる衛兵からメモが差し出される。
「あの住民は当たりどころが悪かったようで腕を骨折していたようです」
「知ったことか。我らの道をはばんだ者が悪いのだ」
流石に衛兵も呆れ顔なのに気づいたジェロ。そっとポーションを差し出す。
「我々にもその責任の一端がございますので、どうぞお使いください」
「ふむ」
ウルリヒは、メモを差し出してきた衛兵にポーションを渡す。




