皇国南方
「ジェロ様、これって!」
皇都ナンテールから街道沿いにかなり南下してきたので、ここで西に向かえば以前にムスターデ帝国を追い出したラーフェン王国との国境やザーローネの街にたどり着くという場所からもさらに南下して進む一行。
もう少しこのまま進めば、目的のロゾニアの街に着くと思われるのだが、その手前の光景に目を疑う。
「こんなに豊かな農業地帯があるのですね……」
先ほどのリスチーヌの発言だけでなく、アルマティも素直に驚いている。
確かにコンヴィル王国、ルグミーヌ王国、ラーフェン王国、ベルカイム王国、そしてユニオール皇国の北西部・西部を見てきたジェロたち。
そのいずれでもここまで豊かな土地は見たことがない。
前世記憶があるジェロにすると、今までは本州の小さく分割された田んぼや畑と比較したアメリカなどの大規模農業のような印象である。北海道くらいならばこのように広い映像を見たことがあるが、雪におおわれることもある土地との印象がある。
この地方に積雪がある話は聞かないので、年中豊かな貴重な土地であることが想像される。
「これなら多くの人口、そして兵士を養えるわね」
「あぁ。それだけ強い部隊になるのも分かる……」
「そしてそれに国境を挟んで対抗しているムスターデ帝国も」
「似たような土地を所有しているのだろうな」
ヴァルとつぶやきに似たような言葉をかわしながら南下を続けるジェロ。
これをドラゴンの炎で焼き払うとなると、その食料をあてにしている多くの住民たちの飢えが怖い。
こんなところで戦争をしているのはどういう感じなのであろうか。




