皇国南方情勢2
ユニオール皇国の魔術師団長であるモーセ・トルブレに、南方の情勢を聞かされた上で支援を頼まれるために頭を下げられたジェロたち。
「トルブレ団長、そのようなことをなされないでください。まずはお座りいただいて」
自分たちも席を立ってそう答えるしかないジェロ。
「ですが」
「はい、本日はポーションの納品のために伺ったのが目的です。我々も南方に向かう心づもりはできておりませんでした。前向きに検討させていただきますが、お返事はどのようにしたらよろしいでしょうか」
「またこの魔術師団の敷地にお越しいただいて良いでしょうか。基本的に武闘派は騎士団が中心であり、皇城にも彼らの派閥が残っていると思われます。残念ながら魔術師団も前線では武闘派がいないと言えませんが、この皇都におります団員は今のジャムス陛下に忠誠を誓っております」
「承知しました。明日に改めてお伺いします」
来たときと違い、団員たちからも期待するような目線があると思えてしまうので、逃げるように敷地を出て馬車に乗り屋敷に戻る。
馬車はまだ屋外であるので、屋敷で部屋に入るまではこの話題に触れることができない。
「防音の魔法をしたわよ」
ヴァルが風魔法≪消音≫の応用で、防音をしてくれた部屋でようやく口を開くことができた。
「で、ジェロ様はどうされたいのですか?」
「うん。色々と考えたけれど、ジャムス陛下がこのユニオール皇国を治めてくれる方が安心だと思う。もしその武闘派がムスターデ帝国と手を結んだとなれば、ラーフェン王国もベルカイム王国も危ないよね」
「ですが、ジェロ様の力があればムスターデ帝国も怖くないですよね?」
「なんか話を聞いていると、ラーフェン王国やベルカイム王国に来ていた帝国軍って精鋭ではない感じがしない?」
「それは……」




