ポーション納品
「いやいや、これは……」
皇都ナンテールが大きいことは皆も認識している。
ただ、コンヴィル王国の王都ミューコンでのことを踏まえると、騎士団に比べて魔術師団の拠点は小さい認識である。人数も少ないので当然だと思っていた。
「小さい方の魔術師団がこれだと、騎士団の敷地なんてどんなことに……」
「流石に皇都の地図を入手したり、上空からそれを確認したりしようとすると、スパイ行為を疑われて面倒なことになりますよね……」
「考えたら、他国の貴族であるジェロ様が馬車でここに乗り付けることも、何か言われてしまうかもしれないですね……」
「でも、うちの屋敷に呼びつけることもできないから、他の手段も思いつかないし」
「こちらでお待ちください」
流石に他国であっても一応は侯爵である貴族が訪問してきているのをむげにできないと考えた魔術師団員も、応接室までは案内してくれた。
「事前に訪問の約束もしておりませんので、トルブレ団長がご不在、ご多忙であればお渡ししたいものがあるだけですので」
「その旨も確認いたします」
ポーションの大量納品を、魔術師団員とはいえ誰にまで知られていいのか分からない。そのため、何を渡すかまでは言えないので、かなり不審な顔をされている。
「ま、そうなるわよね」
「日を改めて、とか、どこに持参すれば、という指示を貰えたら良いのだけどね」
「あの日は緊張しすぎてそこまで気がまわらなかったのが失敗でしたね」
そのように、居心地が悪いと思いながら応接セットに座って話していたところに、ドアがノックされてモーセ・トルブレ本人が入室してくる。




