戴冠式後の使節団2
「つまるところ、自分たちは帰国するが、内戦となったときにはベルカイム王国の侯爵として活躍してくれると嬉しいのだけど、ということですよね?」
ベルカイム王国の屋敷から自分たちの屋敷に戻ってきて、周りには誰もいないとわかってすぐのリスチーヌの怒りの言葉である。
「ま、そういうことよね」
ヴァルも呆れたような言葉である。
「確かにヒルデリン国王たちが危険な目にあって欲しくないから、早めに帰国されるのはありがたいかな。ここに一緒に来たのは護衛という立場でもあったのだし」
「ジェロ様!そんな良いような使われ方を」
「でも、確かにラーフェン王国、ベルカイム王国が共に帰国してくれると守る対象は減るから、身軽になるよね」
「そんなことを言うと、ルグミーヌ王国のメンヒルト王女、コンヴィル王国のムラン伯爵たちはどうされるつもりなんですか?」
「そこなんだよね。テルガニ侯爵家の仲間たちだけならばもっと気楽なんだけれど」
「では、ヘルツォークたち騎士団と、アーロルトたち魔術師団をつけて帰国して貰いますか?もちろん侍女たちも」
「確かにそうすると残るのは≪飛翔≫ができる自分たちとドラゴンだけになるね」
「はい、何かあって帰ることになっても、下手するとその集団を追い抜くことも可能なくらい身軽になりますよね」
「いえ、私もルッツと一緒に残りますよ」
家臣たちと相談したところ、コンスタンが従魔ワイバーンと一緒に残ると言ってくる。
「いや、コンスタンは奥さんであるメンヒルト王女と一緒に、先にテルヴァルデに戻って欲しい。コンスタンが残るとメンヒルト王女も残る、そうなるとトリアウエ騎士団長たちも残る、となるから」
「……かしこまりました。ですが、危険なことはなされないように」
「もちろんだよ。いつでも逃げることができるようにするよ」




