皇都外戦闘の後3
外交官のムラン伯爵から、皇都に留まった方が良いという言葉を聞いて意外に思うジェロ。
「ラーフェン王国は国王陛下がこの皇都に来られています。流石に国のトップがいつまでも不在にするわけにはいかないので早めに戻ることは不思議ではないですよね」
「確かに。となると、ベルカイム王国も両陛下が」
「はい、その通りですが、お二方とも幼いので実際の政はご本人たちではないと皆は思っているかと」
「でも、一番の実力者のプランケット魔術師団長もこちらに同行されていますので」
「おっしゃる通り。ですが、おそらくあの方はできるだけ皇国にいい顔をしたい、恩を売りたいと思われていますよね」
ムランは、ベルカイム王国はもともと属国扱いをされていた皇国に対して、万が一にも早々に逃げ出したと思われたくないどころか、その内戦で何らかの貢献をすることを狙っているのではないかというのである。
「とは言っても、そんなに貢献できるほどの戦力は連れてきて……あ!」
「はい。テルガニ侯爵という戦力、そしてテルガニ侯爵からの従魔であるドラゴン2体。十分な戦力であるかと。実際に戦わなくても、そこにいるだけで抑止力にはなりますよね」
ムランの話を踏まえると、武闘派による悪あがきである内戦となる可能性がある今、ラーフェン王国はまだしも、他の国の立場としてのジェロは皇都に留まっておいた方が良い話もあると理解する。
「元第3皇子のマルキ皇弟は行方不明であり、彼の方の屋敷から武人は完全にいなくなっているようです。また皇国の騎士団や魔術師団も内戦を意識しているのか、消耗品の追加調達を行いながら、皇都外に待機している部隊との連絡が増えているようです」
自分の部下からの報告も聞いて、ますます覚悟をする必要があるかと思いはじめたジェロ。
「ジェロ様、ベルカイム王国の屋敷からお使いの方が」




