皇都外戦闘の後2
ラーフェン王国のレーハーゲルが小声で話してきたのは、やはり皇国の第3皇子のことであった。
正確には、皇太子であったジャムスが皇帝となった今では、皇弟となったマルキのことである。
「いえ、あのパレードの後にどうなったかと思っていたところでした」
「なるほど。実はあのパレードの最後、皇都を出たところでの戦闘の後から行方不明らしいのです」
「え!そうなると、武闘派の動きはあれで終わりとならないかもしれないのでしょうか?」
「その可能性があると、陛下はお考えです。そのため、戴冠式も終わったところですし、早めに帰国すべきだと荷物の整理を開始しております」
「私はいかがしたらよろしいでしょうか?」
「テルガニ侯爵は、この度いろいろなお立場でしたので……少なくともラーフェン王国の侯爵としてのお立場は適当なところで終わったと判断されて良いと、陛下からの言葉を預かっております」
「つまり、もしベルカイム王国の両陛下が残られる場合に私も皇都に残ったとしても問題ないと?」
「その通りです。皇都にくるときには各国が揃ってまいりましたが、戻るタイミングを揃えることは武闘派のことを踏まえると難しいとのご判断でした」
「……ご配慮ありがとうございます」
「ムラン伯爵、どうしたら良いと思われますか?」
ラーフェン王国の意向を聞いたジェロは、コンヴィル王国の外交官であるムラン伯爵とカルカイム子爵に相談する。
「もちろんテルガニ侯爵のご判断に従いますが、我々はもう少し皇都に留まった方が良いかと」




