皇都外戦闘の結果
「終わってみると、だね」
今まで見たこともない規模の騎馬同士の衝突、さらに魔法や投石による攻撃など、まるで特等席での映画を観た感じであると思ってしまうジェロ。
「これをジャムス新皇帝が仕組んでいたのだと思うとおそろしいですね」
「でも、あれだけ自信を持たれていたのだから、そういうことなんだろうね。となると、戴冠式での襲撃も本物だったのか」
万の規模だったはずの騎馬集団も崩れ落ちるのは早く、逃げ出したところを追撃されていた。さらに元々馬車を襲っていた集団もその結果を見て逃げ出そうとしたが成功した者は居ないように見えた。
今、新皇帝の馬車に近づくと怪しまれる自覚はあったので、素直にコンヴィル王国の野営地に戻る。
「もう襲撃者たちは撃退されました。私たちが手出しする必要なんてありませんでした」
ルネリエルたちに見て来たことを報告すると、特にジルバーハインが唸っている。騎士団長として、その規模の戦闘方法や結果を聞いて自国の騎士団の弱さを再認識したのかもしれない。
「各国の馬車たちもようやく混乱がおさまり、少しずつ自国の野営地や皇都内に移動しているようです」
「では私たちも自国の場所に戻るとしましょう」
「テルガニ侯爵、この度も本当にありがとうございました。結果としてはあのままでも大事はなかったかもしれませんが、不安で心臓が破裂したかもしれません」
レーハーゲルのおどけながらのお礼に、ようやくこの騒動も終わるのだと気を抜くことができた。
「じゃあ、俺たちも屋敷に戻るとしようか。ムラン伯爵たちにも状況を伝えないとね」
この野営地に待機の騎士団たちにも労いの言葉をかけた後、皇都内の屋敷へメンヒルト王女たちと一緒に戻るジェロたち。




