皇都外の戦闘2
皇都の城壁近くの混乱がこう着状態に思えていたのだが、別方向の異変にリスチーヌが気づく。
「え?あれって」
土煙をあげながら騎馬集団がその戦闘地域に向かって近づいているのである。
「どっちだ?武闘派か?」
「分からないですが、あの数って」
今までムスターデ帝国との戦闘でも千単位の騎馬集団を見たことがあったが、あれは万の数かもしれない。
今の城壁近くでの戦闘はせいぜい数百規模なので、あの数が押し寄せると流石に決着がつくと思われる。しかも、皇帝が負ける側となる可能性がある。
「ルネリエル陛下、万の規模の騎馬集団が近づいて来ています。ジャムス皇帝のところへ行ってきます。何かあれば、ここにはドラゴンがいますので、それに乗って逃げてください」
ヘルツォーク以下の騎士団たちにもその旨を伝えて、ヴァルとリスチーヌだけを引き連れて今の戦闘地域に≪飛翔≫で向かうジェロ。
「あれ?あれって」
コンヴィル王国の野営地から戦闘地域に向かって飛んでいると、あちこちから軍勢が湧き出ているのを見つける。中でも巨大な集団は、自分たちがパレード後に出てきた城門の隣の城門から出て来た騎馬集団である。
飛びながらそれらの軍勢を見ていると、先ほど見つけた遠くからやってくる軍勢を迎え討とうとしているようである。
新皇帝の準備していた軍勢であることは間違いない。
「ジェロ、どうする?このまま行く?」
「そうだね。ヴァル、リスチーヌ。ちょっと様子を見ようか」
「そうですね」




