皇都外の戦闘
「無事に連絡は取れたみたいね」
コンヴィル王国の野営地に到着した旨の手紙を、姿を消した悪魔たちに届けさせたのである。
まだ混乱している馬車群の中にいた各国の馬車に届いた手紙に驚きつつ、その中身を見て安堵し、承知した旨を姿が見えない誰かに返事していたとのこと。
「ジェロたちの何かの魔法と思っているのだろうね」
「ま、連絡が取れたなら何と思われても良いけれど……」
「馬車をここまで移動して来られるほどは、混乱も落ち着いていないようですね」
「はい。まだまだあちらでは。ただ、襲撃者たちも他国の馬車にまで何かしようとしている気配はないようですね。どちらかというと皇帝を攻めあぐねている感じですね」
いまだにドン!というような大きな音が時々聞こえてくるが、決着はついていないようである。
「ジェロ様、助太刀に行かないで良いのですか?」
リスチーヌの言葉であるが、劣勢となっているわけではない皇帝を助けに行くことは、以前に本人に頼まれたこと、動揺しないように、ということに反してしまう。
「心配だけど、様子を見ようか」
「あ、ハポリエルも戻って来たわね」
皇都内の屋敷に残してきたアルマティたちに今の状況を伝えに行かせていたのである。
「皇都の中では混乱は起きていないなら良かった」
「それならば、下手にベルカイム王国の屋敷には伝えに行かない方が良いですね」
不安ではあるが、しばらくは様子を見るしかないと思いながら野営地で待機しているジェロたち。
時々≪飛翔≫で上空に上がって、城壁の近くの様子を確認するが大きな変化は見られなかった。
しかし少しすると異変が起きる。
「ジェロ様、城壁の方ではなくあちらをご覧ください」
リスチーヌが別方向を見るように注意喚起してくる。




