皇都外の騒動2
他国の来賓たちに比べて状況把握と初動が早かったからか、混乱している馬車や騎馬の集団から早めに抜け出すことができたジェロたち。
後ろを振り返ると、その混乱のまま馬車が動きを取れていない様子が見える。
さらにユニオール皇国の幹部たちは戦闘エリアに駆けつけようとする者、逃げ出そうとする者がいることでますます混乱をひどくしている。
「もう降ろして頂けますか?」
恥ずかしそうに小さな声で言ってくるレーハーゲル。
確かに逆の立場であればそうなってしまうのもわかる。
「緊急の事態とはいえ、失礼しました」
「いえ、ありがとうございました」
「陛下、自陣に急ぎましょう」
ジルバーハインが言うが、ルネリエルは甥のヒルデリンたちが気になるのか、無言のまま城門の方を見ている。
そしてほっとした顔をしてこちらを見てくる。
「あ。≪飛翔≫している様子からベルカイム王国と思われますね」
ジェロが言った通り、近づいて来たのはアンネ女王とヒルデリン国王をそれぞれ抱いているクリノームとベルフール、そしてそれを先導するリスチーヌであった。
そうなると残るのはルグミーヌ王国のメンヒルト王女たちであるが、ジルバーハインたちにすると自国の国王の方が優先である。
「では、そろそろ」
「うむ……」
後ろめたい気持ちになりながらも、騎士団長の言い分も分かるため、動き出すルネリエル。
「あ、来ましたね」
≪望遠≫でジェロが確認したのは、ヴァルが呆れた顔をしながら≪飛翔≫している後ろで、コンスタンに二人乗りで嬉しそうに抱きついているメンヒルト王女であった。




