戴冠パレード3
皇城から皇都の城門の外までのパレードの後、大きな音が発生して何が起きたのか確認するために≪飛翔≫したジェロ。
周りを見渡すとすぐに問題が発生したと思われる場所がわかる。
その場所だけが強力な火魔法が使われたのか焼けこげた場所がある。そしてその場所の付近で敵味方がどうなっているのか分からない戦闘が発生していた。
よく見ていると、雰囲気的に馬車を守る部隊と、それを攻める部隊なのかとわかってくる。
「あっちで戦闘が起きている。え?あれは新皇帝?」
下で待つヴァルとリスチーヌに聞こえるように状況を伝えながら≪望遠≫の魔法も使って状況を確認していると、パレードでの順番や馬車の雰囲気的にジャムスが狙われたのだと思われる。
ヴァルはスカートのことなど気にせず≪飛翔≫で横に上がってくるが、リスチーヌは紐で膝あたりをスカートの上から縛るようなことをして、裾の中が下から見えないようにしてから上がってくる。
「どうするの?」
ヴァルからの質問であるが、ジェロは少し考える。ジェムスには以前に動揺するなと言われていたが、戴冠式のことまでは対処してあっていても、今回の様子を見る限りこれは想定外なのかもしれない。
しかし、自分たちはそもそも各国の王族を守るように頼まれている。
「国王たちを優先しよう」
ヒルデリン国王との面識が多いリスチーヌにはベルカイム王国の馬車へ向かわせて、メンヒルト王女たちのルグミーヌ王国の馬車にはヴァルを、そしてラーフェン王国の馬車にはジェロ自身が向かう。
動きを止めた馬車や騎馬で混み合った場所ではあるが、≪飛翔≫で目標の馬車は見つけてあるので、苦労することなくたどり着く。




