戴冠パレード2
皇都から出るところまでがパレードであり、その後に急に戻ることはできないのと後続があるので、本来であればその後も左右にも分かれながらいくらかは進んで停車すると聞いていた。
しかし、自分たちの馬車がいくら最後の方だと思っていても、進む場所がないほど城門の外が混雑しているのである。
「何かあったのでしょうか」
パレードでの作り笑顔などで疲れたジェロは、気にはなりつつ背もたれに倒れたまま返事をする。
「ま、何があっても大丈夫だろうけれど。あれだけ準備されていたみたいだし」
「そうなんですけれど」
ヴァルは動じることなく静かに座っているが、リスチーヌは心配そうに窓の外を見ている。しかし他の馬車や騎馬がいっぱいで様子を知ることはできない。
「確認してきます」
御者がそう言って降りて行ったので、ますます馬車が動かせる状態ではなくなる。
いざとなれば3人とも≪飛翔≫ができることも含めて、大抵のことには対処ができると思っているが、もし何かがあったとすれば一緒に皇都に来た各国の王族たちのことは心配である。
そのようなことを考えていると、再びドン!という音が聞こえたのと合わせて、まるで戦場での喊声のようなものが聞こえてくる。
流石にハッと背筋を伸ばし、ヴァルたちと顔を見合わせる。
そして頷いたと思えば、それぞれが馬車の外に出る。
「いや、2人はそのままで」
自分と一緒に≪飛翔≫で飛びあがろうとする2人だが、今はドレス姿であり下半身はスカートである。
ジェロは文句を言おうとする2人を無視してそのまま1人だけで≪飛翔≫で空に上がる。




