皇帝戴冠式3
「お待たせしました。ジャムス新皇帝陛下です」
再び風魔法の力によって拡散された案内の声がするので、観客席から見下ろす場所の片方の扉が開いて数人が歩み出てくるのを見る。
「この度は式典へのご参列、感謝します」
ジャムス皇太子の声も風魔法で響き渡る。
その簡単な挨拶の言葉の後、出てきた扉と反対側に歩き出すジャムス。その反対側には、いつの間にか皇帝の冠と思われるものが台座に置かれ、その横には国家幹部らしき人物たちが待機している。
そしてちょうど中間地点と思われるあたりまで進んだジャムスに向かって、周りの護衛に立っていたはずの兵士たちが駆け出す。
「この売国奴!お前など皇帝に相応しくないわ!」
風魔法による拡散がされていないが、静かであったので何となくそういう感じかと思える声が聞こえたが、途中からは悲鳴と混ざってきちんとは聞き取れない。
5人ほどの兵士が駆け寄ろうとしたのだと思われるが、それより先に、同じく護衛に並んでいたはずの魔法使いから≪火槍≫≪氷槍≫などの魔法が、ジャムスのいる中央部に向けて発動される。
しかし、ジャムスの少し後ろで一緒に進んでいたローブ姿の1人も魔法使いであったようで、ジャムスの付近に≪結界≫魔法を発動してそれらの魔法を弾いている。
その後に、その近くにたどり着いた兵士。先ほどの攻撃魔法も上級魔法であり、厳選された魔法使いなのだと思われたが、この兵士たちが手にする剣も炎や氷に包まれており魔剣を持った上級者と思われる。
しかし、こちらもジャムスの後ろにいたローブ姿の2人がそのローブを脱いで、自身の剣を抜いて、各々が2〜3人ずつを相手にしながら、簡単に攻撃者の武器を弾き飛ばしていく。
その頃には他の護衛の者たちが追加で駆けつけてきて、ジャムスを暗殺しようとした者たちを拘束していく。その場で切り捨てないのは、大事な式典を血で汚したくないからだと思われる。




