皇帝戴冠式
かつてラーフェン王国への解放軍を率いた司令官であったアクセル・ドゥケ侯爵を、ルネリエルのところに連れていくジェロ。
「先日はジルバーハインたちのみの御礼訪問になり失礼しました。本当に皆さんのおかげでここまで来ております。今後ともご指導をどうぞよろしくお願いします」
「そのようなことを国王陛下が。こちらこそ帝国に対抗する連携をどうぞよろしくお願いします」
頭を下げようとするルネリエルをドゥケがとめて会話を続ける。
ほっと一息ついて離れたはずのジェロのところに再びドゥケがやってきて、頂いたドラゴンの短剣を身につけていると、その短剣を腰に見せながら話しかけてくる。
「光栄でございます」
先ほどのやり取りでもないが、大国の侯爵と小国の国王とはどちらの立場が上だろうと思ってしまうので、同じ役職名である侯爵の自分なんてと思いながら一歩下がるジェロ。
「あれ?なぜアルノワが」
「え?」
「ほら、あそこに」
確かにドゥケが示した方向には、先ほども話題になった解放軍時代に副官であったアルノワ伯爵の顔がある。周りの騎士団らしき人物たちに指示をしているように見える。
「おかしい。この場に伯爵以下は参加できないはずが」
「いえ、騎士団として同僚の方と護衛のために参加されているように」
「そのようなはずは……」
ドゥケが動き出そうとする。
「大変お待たせいたしました。ご案内に従い、式典会場にご移動をお願いします」
案内の声がかかり、それに合わせて全員が一斉に式典会場の方向を向いて静かに動き出す。
ドゥケは仕方ないという感じで首を振り、ジェロに別れの挨拶をして、皇国貴族に割り当てられた方向に向かい出す。




