不穏な空気
オーク肉よりもさらに美味しいと言われる、Cランク魔物であるハイオークの肉を大量に確保したジェロたち。
クリノームとベルフールも十分な量をベルカイム王国の使節団に持ち帰っている。もしそれでも不足となっても、オークの階層もハイオークの階層も彼女たち2人は到達済みであるので、今度はジェロたちがいなくても簡単に取りに行けるはずである。
ジェロとしても、コンヴィル王国の使節団、実質はほとんどテルガニ侯爵家の人員に対する食料の確保もできた。さらにルグミーヌ王国そしてラーフェン王国の人員に対しても、である。
「侯爵閣下、少しお話が」
この皇都ナンテールでマドロールが雇っていた者たちは、いまだにジェロマン様との名前呼びではなくそう呼んでくることがある。普通のことではあるが、ジェロには違和感がある。しかしかなり深刻な話のようである。
「マドロール様配下の者です」
屋敷の単なる従業員ではないという言い方であり、マロドールに任せている裏部隊の者であるという告白である。これまでは全く違いに気づかないくらい自然に溶け込んでいたことに驚かされる。
隣で聞いているリスチーヌにしても同じように驚いている感じである。ヴァルは表情に出ていないので、どこかで気づいていたのかもしれない。
「今の時期ってことは、武闘派の動きのこと?」
「奥方様、流石でございます。その通りです。どうも来週の戴冠式の辺りで、何か決起する気配です」
「それって、戴冠式を邪魔するとかではなく、反乱を起こすほどの感じなのかな?」
「まだ分かりませんが、その可能性も考慮に入れた方が良いと思います。ムスターデ帝国との連携も、との言葉もあります。ただ、こちらは一部のものが勘違いしている可能性もありますので、定かではありません」




