先帝の葬儀後
来賓や皇国幹部のお焼香相当が一通り終わった後、式典の終了が告げられる。
この後は、来る時と違い、皆が揃って皇城に戻ることは無いという。
「ジェロ様、お疲れ様でした。しっかりお祈りされていたようですね」
貴賓席には座っていなかったが、周りから見ていたらしいリスチーヌに声をかけられる。
周りに人もいる中では事実を言えず、苦笑いするしかない。
「アンネ女王やヒルデリン国王に比べると……」
「やっぱりあの2人、良いでしょう?」
「うわぁ、クリノーム。それとベルフール」
「そこまで驚かなくても良いでしょう?」
ジェロの戦争奴隷ではあるが、アンとヒルデリンと一緒にいるはずの女魔人の2人。
「あぁ。うん、あの2人、あの歳なのに立派だよな」
「そう思うでしょう?」
相変わらず口の悪いクリノームではあるが、どうもあの2人の子供たちのことになると親バカのようになっているみたいである。
「あ、そうだ。ベルカイム王国の人たちって、食料の調達はちゃんとできているか?」
「そんなこと私たちの知らないことだわ」
「確かにちょっと不安がありそうなことを小耳に挟みましたよ」
クリノームとベルフールでは反応が違う。
「これだけたくさんの人員が来ていて、食料不足になっているらしい。俺たちは皇都ダンジョンに潜ってオーク肉を確保したぞ」
「そんな自慢するならこっちにも頂戴よ」
「いやいや、お前たちなら自分で取って来られるだろう?」
「手続きが分かりません。あの子達を食事に困らせたく無いです」
別に奴隷だからどうとは思っていなかったが、どちらが主人か分からないやりとりと感じてしまうジェロ。




