先帝の葬儀3
前世でのお焼香のような感じで、来賓と国内の幹部で大きく分けられたテーブルにそれぞれが順番におもむき、先帝に何かを祈るようにしてから自席に戻って行く。
ラーフェン王国のルネリエルは事前に言っていたように、ムスターデ帝国の排除に人員を派遣してくれたことへのお礼でも述べているのか、とても長いことに気づく。
その後に続いたベルカイム王国のアンネ女王とヒルデリン国王も2人揃って祈っていたが、やはり元属国のようなものであった上に帝国排除のお礼もあったのか、長かった。
声が聞こえるわけではないが、幼いのに2人の立場での振る舞いに感心させられる。
そしていよいよコンヴィル王国、ジェロの番である。
『そうは言っても、会って話したこともない人だし、元々国交がそれほど深い関係でもなかったのだし』
ついつい思ってしまうが、せめてルグミーヌ王国のメンヒルト王女と同じくらいの時間は、と考える。
すでに見てきた他の人の真似をして、両手を合わせて頭を下げた後、両目をつぶる。
「ユニオール皇国のおかげでムスターデ帝国の勢力をなんとか追い出すことができました。その強靭な皇国をまとめ上げられていた陛下のおかげです。これからコンヴィル王国は、ラーフェン王国、ベルカイム王国、ルグミーヌ王国と連携を深め帝国に対峙していきます。もちろんジャムス殿下、いえこれからは陛下のユニオール皇国とも親交を深めさせていただきます。どうか安らかにお休みください」
その最低限のところまでは、声には出さないが言葉にして考えた。しかしそれ以上は言葉も出ないまま、しばらく無言で目をつぶり時間を数えてから自席に戻るジェロであった。




