先帝の葬儀
仲間たちも皇都ダンジョンで十分に狩りをした話を聞いた頃、いよいよ先帝セラフィム・カリム・ユニオールの葬儀の日程になる。
「流石にドラゴンやワイバーンに騎乗しての移動はダメとのことですから」
「まぁそうだよね。皆で馬車に乗って行こうか」
皇都ナンテールの皇城から、近くの皇族の墓地まで先帝の棺を中心とした行進である。当然に次期皇帝である皇太子ジャムスがその横にいるが、他に武闘派のトップと言われる第3皇子マルキを含めた皇族がその近くに数多くいるのが遠目に見える。
「俺たちの移動ってまだまだ後だよね」
「そうではありますが、そろそろ≪飛翔≫はやめて馬車にお入りください」
リスチーヌに注意されて仕方なしに馬車に戻るジェロ。
「王族でもないし、顔を出して手を振ることもないから、替え玉でも用意したいところだよね」
「あら、ウッドゴーレムに服を着せておく?」
「ジェロ様!」
「リスチーヌは真面目だわね」
「ヴァルもふざけていないで」
本気の喧嘩ではないが、確かに暇をもてあますことになる日である。
「ヒルデリン国王やアンネ女王は幼いのにちゃんとご対応されているのですよ」
「確かに。すごいよな」
「ジェロ様も、コンヴィル王国の代表なのですから、後ろの馬車のムラン伯爵たちに注意されない程度には」
「分かったよ」
とはいうものの、本当に暇で仕方がないので、馬車の中が見えなくなっていることを良いことに、先日買った魔法カードを今までのものと並び替えたりして時間を潰すことにした。




