皇都での待ち時間3
「じゃあ、買い物も終わったし、行くとするか」
ジェロはヴァルとリスチーヌの3人で皇都ダンジョンに向かう。
「以前に来たときに、それなりの階層に進んでいたのが幸いですね」
「そうだね。食料不足ならば、やはり喜ばれるのはオーク肉だよね」
Dランク魔物であるオーク。豚のような顔で通常の人間よりも少し大きい太った体付きという外見であるが、その肉が上等な豚肉のようであり人気の食材である。
皇都ダンジョンは一緒に転移魔法陣で移動した者しか存在しない空間に飛ばされるため、どれだけ派手な魔法を使っても他人に見られる心配はない。
また3時間という時間制限が終わるまで粘れる上に、再度同じ階層に入ってもリセットされて魔物が再配置されているので、狩りをするにも訓練のためにも最適なダンジョンである。
「じゃあ、ジェロ様。せっかくですし競争しましょうか」
「もし敵がいなくなったらボスをやっつけてもう一度入り直せば良いよね」
一緒に階層に入った後は3人がそれぞれ≪飛翔≫で別々の方向に飛んでいき、それぞれが倒したオークは魔法の収納袋にしまう競争である。
ボスを見つけた者は、ある程度狩りつくしたと思ったときに倒すまで我慢する。ボスを倒して1人でも転移魔法陣に入ると全員が同時に排出されてしまうからである。
「これ、モージャンのダンジョンなどでやると絶対に他の冒険者に嫌われますよ」
最初の挑戦で、3時間を待つまでもなくすぐに狩りつくしてしまったのを見たリスチーヌのつぶやきである。
「うちもたくさんの人が皇都に来ているから、自分たちの分を確保してから、冒険者ギルドに納品するとしようか」
1日だけであったが、3人が全力で狩ったオーク肉は、ギルド職員のアイメリックを驚かせるのに十分であった。




