皇都での待ち時間
冒険者ギルドで、皇都ダンジョンに皆を派遣して欲しいと頼まれて来たことを皆に共有すると、リスチーヌには意図的だったのでは?と聞かれてしまった。
「皇都に来られて、次に会う予定の方々はいらっしゃらなくなりましたよね?」
「あぁ」
「こちらから会う予定の貴族の方々は、ですよね」
「あ」
「はい。普通でしたら、このユニオール皇国にも名前が知られていると思われるテルガニ侯爵に対してこの機会にご挨拶をとおっしゃる方が居ても不思議ではないかと」
「う……」
「ですので、この屋敷に留まりたくないのかと。流石に前触れもなく訪れてくる不躾な方はそうそう居ないでしょうから、来られるまでに少しは時間があると思いますよ」
リスチーヌの発言に皆が納得してしまう。
「じゃあ、ジェロ様。前に住んでいた家でもお忍びで見に行かれますか?」
「あ、いいね。前に良く行っていた魔法カードの店にも行ってみたいけれど……」
「まぁ良いんじゃないですか。ヴァルと3人なら万が一も起きないでしょうし」
流石に自分たちだけがくつろぐのは申し訳ないので、アルマティには魔術師団員たちにも自由行動をするように伝える。もちろん余力があれば皇都ダンジョンにも行って欲しいとは言ってある。
女性たちなので、服飾などの店に行くことを想定している。
そしてヘルツォークに、騎士団員たちも順番にくつろぐように言ってみるが、おかたいので素直に聞いて貰えない。そこで皇都ダンジョンの話をしてみる。
「それは噂で聞いたことがあります。ジェロマン様が依頼を受けられたのでしたら、訓練かねがねぜひ行ってみたいと思います」
そちらの話の方が喜ばれてしまう。彼だけの意思ではなく団員たちが似た思考なので、ワーカーホリックの心配をしてしまう。




