皇都での皇太子との意識合わせ3
「今日はお忙しいところ御足労いただき本当にありがとうございました。これからも私はユニオール皇国の西方の4カ国のことに感謝いたします」
その言葉を得られただけでも本日どころかこの皇国へ使節団が来た甲斐があると思える一行。
「あ、メンヒルト王女、トリアウエ団長。エルフの弓や魔道具、大切にしますね。ありがとうございました」
先に退出するジャムス皇太子に、手土産の件を言葉に出されて明らかに喜ぶ2人。
皇太子の姿が見えなくなるまで見送ってから、2人はサリニャック子爵にお礼に行く。
「上席とは皇太子殿下のことだったのですか」
「いえいえ、子爵程度の私の上にはもっと人がおりますが、皆がそれぞれ上に献上することになり殿下に辿り着いたということです」
それならば、と経由された方の数を伺い、改めて子爵の屋敷にそれだけの数を届けることを宣言するトリアウエ。
そして屋敷にいた他の皇太子派閥の貴族たちとも少数ならではの交流を行った後、ジェロの屋敷に戻って来た一行。
「今夜はとてもいい夜になりましたね」
ベルカイム王国のイニャス・プランケット魔術師団長が相変わらずのおべっかのような発言をするが、ラーフェンのルネリエル国王たちも頷いている。
アンネ女王とヒルデリン国王の幼い2人は馬車の中で眠ったままである。
「このまま泊まって行かれますか?」
一応の社交辞令的な意図で声をかけてみたつもりのジェロであったが、プランケットもルネリエルも喜んでと返事をされてしまう。
屋敷に馬車が到着したことに気づいて近づいて来ていた執事たちに謝りながら、その対応をお願いするジェロ。




