皇都での皇太子との意識合わせ
「コンヴィル王国も、これまで以上のユニオール皇国との連携、そして相互の発展に寄与できればと思っております」
他3カ国の王族たちの発言に比べて微妙とは思いつつ、コンヴィル王国を代表するしかないジェロも言葉を選びながら発言する。
ヴァルやリスチーヌに見られていなくて良かったと思ってしまう内容ではあったが。
「皆様、過分なお言葉ありがとうございます。父の葬儀が終われば、すぐに私の戴冠式をさせて頂く予定です。そちらへのご列席もどうぞよろしくお願いします」
「もちろんです」
もともと招待はなかったルグミーヌ王国の2人もほっとした顔をしている。
「つきましてはお願いしたいことがあります」
次期皇帝であるジャムスの言葉である。誰かが唾を飲み込む音が聞こえた気がするが、自分の音だったのかもしれないと皆が思う。
「そのように構えられずに。恥ずかしながら、今の皇国内では武闘派と呼ばれる者たちが、私のやり方は穏健すると指摘して来ている状況です」
そこでうんとは頷けない皆は次の言葉を待つ。
「彼らが何かをするとすれば、葬儀が終わった後、戴冠式までか戴冠式そのものの可能性が高いと思われます。ただ、我々皇国も人が居ないわけではありません。どうか大船に乗った気持ちで動揺されることなく落ち着いて行動を取っていただけましたら幸いです」
お願いと言われたのに、そこで言葉が終わってしまうので、互いの顔を見合ってしまう。
「驚かせてしまいましたか。申し訳ありません。確かにテルガニ侯爵のお力をお借りできれば頼もしいところですが。我が国にも侯爵には劣りますが頼もしい者たちはおりますので」
「あ、もちろんですよね。承知しました。何も起きないことをお祈りますが、あったとしても落ち着いて行動を行うようにします。何せ皇太子殿下からのお言葉ですので」
ルネリエルの発言に対して、皆も頷く。




