皇都での皇太子との面談3
「本日はこのような場所までお越し頂きましてありがとうございます」
ジェロたちが入って来た扉とは別の扉から、そう言いながら入って来たのはユニオール皇国の皇太子であり、皇帝が崩御した今となっては次期皇帝になるのが間近であるジャムス・ユニオールその人であった。
慌ててひざまずこうとするジェロたちだが、それをすぐに制するジャムス。
「本日は非公式な面談ですので。皆様とはまた別途皇城でお会いすることになると思いますが、その際には不要な者も周りに多くなりそうですので」
武闘派のことをいうのか、それともしっかり話すには人が多すぎる場となるという意味なのか、と思ったジェロの顔を見たのか。
「あ、これは紛らわしい言葉を。失礼しました。皆様とは距離を近くお話をさせて頂きたかっただけですので」
ジェロに目配せをされたような気もするが、余計なことは言わずにもう頭を下げるしかない。
「皆々様、改めまして。我が父の葬儀にご列席いただくために遠路のご来訪、誠にありがとうございます」
かしこまった挨拶と頭を下げるジャムス。
大国であるユニオール皇国のトップがすることではないということを言う者は、確かに皇城には多そうであると思ってしまう。
「どうか頭をお上げください。我らラーフェン王国はユニオール皇国の陛下と殿下のご決断がなければいまだにムスターデ帝国の占領下であったかと。その御礼も墓前で述べさせていただく所存」
ルネリエル国王に続くのは、ベルカイム王国ではプランケットと思っていたら、アンが発言する。
「私たちのベルカイム王国も同様です。帝国の占拠支配の以前から、そしてその支配からの解放など感謝しきれないところです」
「ルグミーヌ王国も、ムスターデ帝国に対抗するためこれからもぜひご協力を賜れればと」
メンヒルト王女まで発言が終わる。王族ではないジェロは発言を戸惑うが皆の視線が痛い。




