皇都での皇太子との面談2
皇太子との内緒の面談の場に向かう際、ジェロが心配する必要もなく、各国は最小人数にきちんと絞って向かうつもりであったようである。
いったんジェロの屋敷に立ち寄り、そこで目立たない馬車に乗り合わせていくのである。
しかも、ラーフェン王国は国王、騎士団長、魔術師副団長、ベルカイム王国は女王、国王、魔術師団長、ルグミーヌ王国は王女、騎士団長のみである。
そうなるとコンヴィル王国はジェロ以外に外交官のムラン伯爵が同席するだけとなり、馬車は2台に乗り合わせることになる。
「ジェロと一緒が良い」という口にはしていないがヒルデリンの無言の圧力があり、ベルカイム王国の3人と同席するジェロ。
そして2つの馬車はそれぞれ王国騎士団長が御者をするという贅沢な組合せである。
目的地に着いたところで、メンヒルト王女がジェロにこっそり告げてくる。
「まさかラーフェン国王とこんなに親密に話す機会を頂けるとは思いませんでした。ルグミーヌ王国のためには本当によかったです。ありがとうございます」
どちらかというと、そちらの3カ国が混ざる馬車に乗らずに済んだと思っていたジェロは申し訳なく思ってしまう。
「これは、サリニャック子爵。この度はお招き頂きまして誠にありがとうございます。お言葉に甘えさせて頂き、こちら、各国の方々もお邪魔させて頂きます」
「とんでもありません。皆様、ご足労をいただきましてありがとうございます。早速ですがご案内させて頂きます」
案内されたのは、以前にジェロも皇太子と対面した部屋ではあるが、その高い場所に着座する者は居なかった。




