皇都での挨拶
結果としてマドロールの事前の手配のおかげで、各国とも恥をかかないことができたので、悪魔ハポリエル経由で留守を守る彼女にお礼を伝えておく。
「到着のご挨拶をどうしましょうか?」
「皇城に4カ国が到着した旨はもちろん伝わっておりますし、各国がそれぞれ連絡済みです」
ムラン伯爵とカルカイム子爵からの相談である。
「普通でしたら、先方からいついつに登城するように指示が来るまでは待機となりますので、その間に知り合いの貴族などに先に挨拶まわりをすることになるのですが」
「我々コンヴィル王国は、これまであまりユニオール皇国との付き合いがありませんでしたので」
2人に言われても、ジェロ自身も以前に来たときに会ったことがあるのは、皇太子派のジョスラン・サリニャック子爵である。ただ彼とはベルカイム王国の用としてワイバーンの討伐証明を提供したときの関係であり、自分たちだけで会いに行くのは微妙と思われる。
「確かにそうですね。となりますと、まずは先日のフェリック国王陛下の戴冠式にお越し頂いたシャルル・モンレアル侯爵くらいでしょうか」
「そうですね。もちろんあの方にはご挨拶するとして、コンヴィル王国だけでお会いするべきか。コンヴィル王国のことを見下しておりましたし、テルガニ侯爵が正使としても王族が訪問していない我が国のことは……」
ムランとカルカイムの言葉を聞くと、ますます自分が一番上の立場で会うのは腰がひける。
「少なくともモンレアル侯爵には、ルグミーヌ王国のメンヒルト王女とトリアウエ騎士団長にご同席いただきましょう。そして、サリニャック子爵への伝手は、ベルカイム王国にご相談の上で、問題なければこちらもメンヒルト王女達と」
「そうしましょう」
ジェロにしてみると外交交渉などは誰かの陰に隠れたいところであるのがバレバレで、同席しているヴァルとリスチーヌも苦笑いしている。




