皇都での拠点
ルグミーヌ王国のトリアウエ騎士団長に、ジェロ達は皇都での拠点をどうするのか問われ、返答に困る。
「昔、小さな拠点は確保していたのですが……」
「ジェロ様、マドロールが手配してくれていますよ」
「え?」
マドロールとは、確かに裏活動をする者のために昔に買った家以外の場所も調達する話はしていた。しかし、一般家庭の家程度を想定していたのに、リスチーヌの顔を見るとそうではない感じである。
「トリアウエ団長。ご心配なさらなくても大丈夫ですよ。メンヒルト王女以外にも、団長の他何人かはご一緒に滞在できるかと。一度ご覧になっていただいた後に、この野営地に留まる方との分担をご検討いただけましたら」
「そうですか!流石はテルガニ侯爵。大変助かります。もちろん費用はお支払いいたしますので」
「いえ、メンヒルト様も今ではテルガニ家の一員でもありますので、お気遣いなく」
ジェロは自分の知らないところでリスチーヌが調整してくれていることを頼もしく思う。
「ムラン伯爵、カルカイム子爵ももちろんテルガニ家の屋敷にご招待させていただきます。ヴァランタン伯爵、ラプラード子爵はいかがされますか?」
「その言い方なら分かっているのだろう?俺たちは騎士団の仲間達と野営をしておくさ」
「はい、ドラゴン達も皇都内には入れないでしょうから、野営地をお守りします」
「いやいや、ドラゴンに守ってもらう、の間違いだろう。ははは」
ヴァランタンは相変わらず副官と仲の良さそうな距離感である。
「では屋敷の段取りをして来ますので、皆様はしばらくお待ちくださいね」
リスチーヌがコンヴィル王国とルグミーヌ王国の使節団を仕切っている。




