ユニオール皇国へ入国2
「ようやく皇都ですね。色々とありましたね」
リスチーヌの言葉の通り、国境を越えてから皇都ナンテールに到着するまでは大変であった。
普通に4カ国の合同行動なので、非常にゆっくりとした移動になるのは仕方がない。
しかし、やはりドラゴンが何体も通ることが近隣の住民に騒動を巻き起こしてしまったのである。
皇国内でも、皇帝が崩御になり内戦が起こるかもしれないという噂が広まっているところへ、4カ国の使節団の規模とドラゴンたちを見かけたのである。
内戦の開始か?と思われても仕方がない。
その都度、国境からついて来てくれるように皇太子が手配してくれていた衛兵が説明をしてくれていた。
そして、どこの世界でも子供は好奇心旺盛であり、親達が他国の王族などに関わらないように遠巻きにしているのに、その手を振り払って近くまでやってくる。
「仕方ないですよ。この街道は今まではベルカイム王国の外交使節がたまに通るくらいだったのですから」
言われてみると、ベルカイム王国のリブルドーの街からユニオール皇国の皇都ナンテールに向かう道であり、今までなら他国が通る経路ではなかったはずである。
「なぁルグミーヌ王国って、あの耳が尖ったエルフってのが居るんだろう?どこだろう?」
「いや、そんなのより、あの空を飛ぶドラゴン達。ワイバーンもいるけれど、やっぱり違うよな。あんなでかい生き物って本当にいるんだな」
自分たちの行軍を見るために木に登っている子供達の声を、風魔法で拾ってみたジェロ。
「どこの国でも子供は無邪気なものだね」
「それが大人になったら残念になるのも、どこの国でも一緒なんですけれどね……」
リスチーヌの言葉が刺さってしまう。




