ユニオール皇国へ入国
ベルカイム王国のリブルドーの街を出た後は、特に問題がないまま東に進んだ4カ国の使節団。
「あそこからユニオール皇国ですが、大丈夫ですかね」
「でも前触れは行っているはずだよね」
「とはいえ、ドラゴンが何体もって誰も信じないでしょうから」
「ま、それは信じていなかったのを驚くだけだろうし」
「ジェロ様、ドラゴンは強力な戦力ですよ。それが何体も揃ってくるとなると、まるで皇都を占拠するのか?となる人もいると思いますよ」
「うーん、戦馬と同様とは言えないか……」
「はい、使節団なのに戦争できるだけの軍勢で乗り込むのと同じに思う人も」
「悪魔や魔人もいるのに今さらでしょう?その数人だけでそこら辺の軍勢には匹敵するのに、見た目の違いだけで判断するなんて」
「ヴァルの言う通りだけど……」
リスチーヌの懸念は杞憂で終わったようである。
後に聞いた話では、皇太子のジャムス・ユニオールがドラゴンの話を関所に通達していたらしい。自分も出席したラーフェン王国の戴冠式などのことを踏まえると、ジェロ達がドラゴンで来ることを想定していたとのこと。
「よく考えたら、ムスターデ帝国と大国同士で争っているユニオール皇国ならば、少なくとも戦場に近いところでは帝国の用意した魔人にも対抗できる戦力があるはずよね」
「確かに。でも、前に皇都ナンテールに来たとき、ベルカイム王国との国境のワイバーンすら対応に困っていたよな」
「属国と思っているベルカイム王国との国境や皇都に戦力は置かずに、南方などの帝国との国境に戦力を集中させていたからじゃない?」
「ヴァルの言う通りかもしれないな。じゃあ、俺たちの戦力くらいでは驚かないかもな」
「その南方の、帝国との戦場を経験している人はそうでも、皇都の人達は違うと思いますよ……」




