リブルドーの出発
ラーフェン王国からのルネリエル国王達も予定通りリブルドーに到着し、南門から代官館までパレードを行った。
ルネリエルもドラゴンに騎乗していたので、リブルドーの住民にとってドラゴンとはこのように身近なものだろうか、と疑問に思わせてしまう。
「ご無沙汰しております。この度はモーネ様が同行できず申し訳ありません」
「何をおっしゃりますか。ご懐妊とはおめでたい限りです。もし女の子であれば、我が息子のルートマーの妻にお願いしますね」
ルネリエルとも私的な対面となった折の挨拶であるが、生まれてもいない子供の婚姻の話をされて戸惑うジェロ。
「テルガニ侯爵。こういうお話には慣れていただかないと。特に侯爵のお子様は各国から狙われますぞ。ですが、モーネの出身であるラーフェンには優先権を頂きますよ」
「は、そのようなお話はモーネ様とも相談の上で」
「ははは。ぜひとも」
ラーフェン王国からルネリエル国王に同行して来たのは、クラウス・ジルバーハイン騎士団長とハンネマン・レーハーゲル魔術師団副団長であり、コンヴィル王国のフェリック新国王の戴冠式と同じであった。
各国が合流し、一通りの挨拶も終わったところで、皇都ナンテールに向けて出発することになる。
流石に4カ国の使節団が出発するのまでパレードをすることはないだろうと思っていたジェロだが、その推測は誤りであった。
「ムスターデ帝国との戦において激戦地であったこのリブルドーの街の住民に、4カ国の連携を見せることで安心させる必要があるのです」
プランケット魔術師団長の言葉に反対できる理屈を持つものはいなかった。




