皇国への使節団出発3
ジェロたちは≪飛翔≫と違い、馬車などのため時間をかけてテルベルクに到着する。
「テルガニ侯爵、とても素晴らしいですね。この山脈を通過できる街道とは」
「はい、以前なら、北方のサンレーヌの街から東の王都ルージャンへ、そして南下してリブルドーに向かうというかなり遠回りでしたので」
ムラン伯爵とカルカイム子爵が感動している。
「はい、これからはコンヴィル王国とベルカイム王国の往来が増え、さらにはユニオール皇国との交流も盛んになれば、と思っています」
「ますますテルヴァルデの街は発展しますね」
「まったくです。我々も資金に余裕があれば街に投資をしたいくらいです」
「ははは。ぜひお願いしますね」
以前にモーネと一緒に使節団として行動した2人相手ではあるが、当時とは爵位が逆転したことで敬語を使用されることに慣れないまま精一杯の応対をしているので、ジェロは気疲れしてしまう。
「ジェロ様、どうされたのですか?大丈夫ですか?」
このテルベルクを任されているレナルマンが出迎えてくれたところでの発言である。
「ジェロ様、これからリブルドーの街では他国とも合流になります。何とか慣れて行きましょう」
事情を分かっているリスチーヌが励ましてくれる。
「みんなありがとう。それに、レナルマンもこの大人数の受け入れ、お疲れ様」
「いえいえ、事前に情報がありましたし、一泊するにも建物というより魔物の来ない安全な敷地を提供するだけでしたので、それほどでは」
ドラゴンたちもいるので、もしテルベルクの堀の外が野営地となっても魔物は来ないと思われるが、一行の気持ちの休まり方は違うと思われる。
また、このテルベルクでのレナルマンたちの用意した夕食、そして朝食で暖かいものを落ち着いて食べられたことで鋭気を取り戻した一行は、いよいよベルカイム王国のワコローズの街に向けて再出発する。




