ルグミーヌ王国の皇国への使節団3
「そうですね……正直、王国騎士団はあまり頼りにならないと言われて来ましたので……」
アルマティが、ルグミーヌ王国魔術師団員であったアグネスタに、メンヒルト王女たちと一緒にユニオール皇国の皇都ナンテールに向かうことの是非を聞いたことへの返事である。
「私はどちらでも大丈夫です。元々エルフ村にいただけなので、王国騎士団とも王国魔術師団とも縁がありませんでしたので」
第1隊の隊長であるアーロルトの返事は想像通りであった。
しかし、他の隊員を含めて副隊長のアグネスタの返事は微妙であった。
「王国魔術師団では、私たち女性団員というよりは男性団員が特に、騎士団の団員を見下していましたね。あのトリアウエ騎士団長の腰の低さが、ムブルゴイ魔術師団長に比べて頼りないと感じると」
「そうですか……」
「でも、女性団員からは尊大なムブルゴイ団長よりトリアウエ団長の方が人気でしたよ。逆にそれがなおさらに気に入らなかった理由かもしれませんが」
「何を言っているの?一緒に行けば良いじゃない。私にしたらコンスタン様が将軍をされているテルガニ侯爵領軍と、実家のルグミーヌ王国騎士団が不仲なんて嫌だわ」
トリアウエがメンヒルトに、自分たち王国騎士団だけが同行するので良いかと相談したことへの返事である。
「もちろん、テルガニ侯爵が侯爵家の魔術師団員の同行をお許しくださるのであれば、ですけれど」
ジェロは、もともと皇都ナンテールに到着したときには、魔術師団第2隊に属することになる女魔人のクリノームとベルフールがベルカイムから合流することになるので、他の魔人たちを連れていくつもりであった。そしてテルヴァルデを手薄にしないために第1隊は留守番と考えていた。
しかしその話を聞くと、魔人アラトラス、ネベルソン、アバドンをテルヴァルデに残して、第1隊とは皇都に向かった方が良いと判断する。
少しでもトリアウエ以下の騎士団員たちと交流して貰うためである。




