コンヴィル王国の皇国への使節団2
「あのときには本当にお世話になりました」
以前にラーフェン王国からムスターデ帝国を追い出す協力を求めて回る使節団で一緒であった者達にモーネが改めて頭を下げてお礼を伝える。
「モーネ王女、そんなに何度もは結構ですよ。それに当時の一番の立役者は、いま横にいらっしゃるテルガニ侯爵ではないですか」
「しかも、お子様までお生まれになるとはおめでたいことです」
「ありがとうございます。ですので、皆様とは皇都ナンテールに向かうことができず申し訳ありません」
当時の使節団にいた外交官のバルナタン・ムラン伯爵、ギャスタン・カルカイム子爵、騎士団のマリユーグ・ジュリユー準男爵。そしてモーネ王女と、リスチーヌ、イド、コンスタン達。
「ジュリユー、何を縮こまっている?お前も一緒にいたのだろう?」
「またそんな。昔とは爵位も違いますし、野営などと違いこんな屋敷の中ですよ」
「はい、ラプラード子爵のおっしゃる通りで」
「はぁ。お前はもう少しそういうところが」
「伯爵は肝っ玉が太すぎなんですよ」
ヴァランタンの副官であるラプラードは気苦労が絶えなさそうなのは変わっていない。
「皆様、ご挨拶が遅くなり申し訳ありません」
「いやいや、酒も料理も期待以上だから大丈夫ですぞ」
「ご満足いただけているなら良かったです。皆様には大変お世話になったお礼にもなりませんが」
ジェロとモーネが席を移動して挨拶に来ても、ヴァランタンの言動は変わらない。
ニースコン城門近くの地面のシミに変わったことまではジェロ達も知らないが、ダンビエ子爵のように会いたくない者がいない気が楽な集まりであった。




