皇国からの招待状2
ユニオール皇国からの葬儀と戴冠式の招待状は、皇国に近い方のテルヴァルデから遅れてコンヴィル王国の王都ミューコンやルグミーヌ王国の王都アーレアに届いたはずである。
それなのに、という早さでそれぞれから使者が来る。
「コンヴィル王国からは外交官のバルナタン・ムラン伯爵とギャスタン・カルカイム子爵が、ジェロマン・テルガニ侯爵と共にユニオール皇国へ向かうことになります。お二方は急ぎ王都ミューコンを出発されていますので、じきにこちらテルヴァルデに到着すると思われます」
「え?そんなに早くですか?」
「はい。魔術師団の同行はありません。テルガニ侯爵がいらっしゃるのに不要だと国王陛下から」
「では騎士団からは?」
騎士団からは何かと嫌われることも多かったので心配する。
「はい、ジルダ・ヴァランタン伯爵が同行されます。ですので、こちらの行動も早いと思われます」
ニースコンがムスターデ帝国に占拠されていた頃に、帝国への対抗で送り込まれた派遣軍の司令官であった男の名前を聞いて、体育会系の熱い言動を思い出す。
ジェロと相性が悪くない人物を選ぶ配慮もして貰えたと認識する。
それらの人物を迎えるためにも、テルヴァルデの迎賓設備の準備をしているところへ、ベルカイム王国とラーフェン王国からも使者が到着する。
こちらは以前に話のあった通りであり、リブルドーで合流する時期の意識合わせがあった程度であった。
そしてルグミーヌ王国からも、ルハイーン・トリアウエ騎士団長がテルヴァルデに立ち寄ってからユニオール皇国へ向かう旨の早馬が到着する。
「早めに知らせてくれるお気持ちはありがたいのですが申し訳ないです。トリアウエ団長には、お会いできる旨を楽しみにしています、という意図だけ伝えて貰えれば良いので、帰りは無理しないでくださいね」
しかし、使者の顔を見ていると、とてもゆっくり帰るようには見えないのが残念である。




