各国からの指示書3
ユニオール皇国の皇帝崩御に関して、最後に使者が到着したのはルグミーヌ王国であった。
「ルハイーン・トリアウエ騎士団長が向かうのだが、もし良ければメンヒルト王女を同行させて貰えないか、というすごく丁寧な手紙を頂きましたよ」
「そうですか。父たちも色々と考えることがあったはずと思いますが、あの距離なのにこの日程で到着するということは即決したのでしょう」
メンヒルト自身にもその手紙を見せての会話である。
「ラーフェン王国からムスターデ帝国を追い出す共同戦線のときもそうでしたが、各国との足並みを揃えること、他国からどう思われるかに気をつかっておりましたので。今までユニオール皇国との付き合いなど無いに等しかったのですが」
その状態なのに、訃報を知ったときからこの結論を想像していたメンヒルトも流石は王女なのであろう。
「葬儀は呼ばれていなくても参列して良いとなるはずです。そして、葬儀に参列していれば、当初の予定になくても戴冠式へもご招待いただける可能性もあります。もし葬儀だけとなっても、ラーフェン王国、コンヴィル王国そしてテルガニ侯爵との関係性を他国に示すことができれば、それがムスターデ帝国にも伝わることも期待しているかと」
「トリアウエ様も騎士団なので足ははやいと思いますが、タイミングを合わせるのが難しいですよね。ベルカイム王国、ラーフェン王国とはリブルドーの街で合流する予定である旨と、もし良ければテルヴァルデの街で時間調整する名目でお越し頂いても、と返事させて頂きますね」
「ありがとうございます。普通に想像される開拓地ではなく、歴史ある街よりも発展している街で私は暮らさせて頂いていることを彼にも見て貰えたら、父たちにも伝えてくれるでしょう」
この一連のことを踏まえ、外交や交渉ごとについては、マドロール、モーネ、そしてメンヒルトに頼ることにしようと改めて思う、小市民の思考から卒業できないと思っているジェロであった。




