各国からの指示書
ユニオール皇国の皇帝が崩御との訃報が伝わってからしばらくすると、ジェロの元に各国から次々と指示書がやってくる。
「本当、マドロールの言う通りだね」
「最初はベルカイム王国のイニャス・プランケット魔術師団長からの」
「流石は、というくらいこういうことへの対応がしっかりしているというか」
ベルカイムから話は、アンネ女王とヒルデリン国王がドラゴンに乗って向かうことにしたいので、同行を頼みたい、というものであった。
プランケット自身も向かうので、現地までの往復の護衛をして貰えたら、現地ではベルカイムを含めたどの国の使節として振る舞っても良いという気遣いまでされている。
「リブルドーの街での合流で良いというのは助かりますね」
「それとドラゴンのシュシュとラヴィについても、魔人クリノームとベルフールが連れてくるから、と」
本当にドラゴンで行くのだと思ったが、自分までドラゴンを要望されているわけではないので、とこの時は思っていた。
その次に届いたのは意外にもコンヴィル王国からの早馬であった。
「きっと葬儀と戴冠式が執り行われるので、向かう準備をしておくように。副使には外交官のムラン伯爵をつけるから、行くだけで良いって」
新国王となったフェリック直筆と思われる指示書である。
「普通、こういうときには右筆が丁寧な文言で書いたのに本人がサインするだけじゃないのかな」
「それが、フェリック国王の人心掌握の手段なのかと思われますね。特にジェロ様に対する気遣いとして」
「ありがたいというべきか……」




