ユニオール皇国からの訃報
「ジェロ様、いよいよ、です」
マドロールがユニオール皇国に送り込んでいる者から訃報が届く。
「そうか、皇帝が崩御か。では普通に皇太子が戴冠することに、武闘派は反対するために何かをしでかす可能性が出るということか」
「はい、それはそうです。ですが、対岸の火事とはならないかと」
皆はマドロールの言葉の続きを待つ。
「皇国という大国の皇帝の崩御。当然に盛大な葬儀が執り行われるでしょう。また続けての戴冠式も」
「まぁそうなるわよね」
「各国から来賓を招待しますが、ベルカイム王国、ラーフェン王国など各国はどなたを送られるでしょうか」
「まずベルカイム王国は、アンネ女王とヒルデリン国王が共に幼いですが他に王族もいらっしゃらないのでお二人になるかと」
「え?でも、コンヴィル王国の戴冠式のようにイニャス・プランケット魔術師団長という案は?」
「ラーフェン王国の戴冠式ではヒルデリン様がラーフェン王族ということもありましたが、お二人が参列されました。皇国にすると属国扱いであったベルカイム王国が、お二人ではなく魔術師団長の派遣で納得されるでしょうか」
「でも、あのときにはジェロ様が護衛を。あっ」
「はい、その通りです。ベルカイム王国の侯爵でもあるジェロ様に、女王と国王を皇都ナンテールまで連れて行って欲しいという要望が来るのではないかと」
「続いてはラーフェン王国です。こちらのルートマー王太子はもっと幼いので、ルネリエル国王が向かわれる可能性が高いかと。ラーフェン王国からムスターデ帝国を追い出すことへ協力されたお礼もありますし。もし体調不良等があれば、コンヴィル王国の戴冠式のようにクラウス・ジルバーハイン騎士団長の可能性も残りますが」
「そうか」
「ですが、モーネ王女がご懐妊でなければ、ジェロ様夫婦も有力な候補であったかと。お二人とも皇太子と面識がありますので」




