アーロルトの待遇3
アーロルトの発動した≪氷結≫と≪石壁≫では、アラトラスとアバドンを満足させることはできなかったようである。
「ま、悪くは無いか」
逆に、もう少し魔法を使えると思われたら、決闘を求められたと思われるので、彼にしたら無事に終わったと思うべきかもしれない。
一方、第1隊の女性たちの反応は違った。
「アーロルトさん、上級までとのことですが、他には何を?」
「そうですね、≪氷槍≫と≪岩槍≫も。あまり火魔法は使いたく無いですが≪火槍≫も」
「アルマティ団長!」
「はい」
「アーロルトさんを第1隊の隊長に推薦します。私は副長になります」
「え?」
アグネスタの発言に驚くが、確か彼女は上級魔法は≪氷槍≫のみであったと思い出す。
「魔法の習熟状況のみが役職を決める条件ではありませんよ。アグネスタさんは皆さんを良くまとめてくれています」
「なら、それは副長として継続します。やはり魔術師団は実力者が上位でないと」
「私はアラトラスに勝てないと思うわよ」
「いや、試してみると面白いかも。近いうちに手合わせを頼もうか。団長には興味はないので勝敗に関わらず今の役が良いが」
アラトラスは楽しそうに言う。アバドンは、まだ自分は勝てないと分かっているようで余計な発言はしない。
「隊長が何をする立場なのか分かりませんが、やるならちゃんとやりますよ。皆さんに魔法をお教えすることも含めて」
「アーロルトさん、ありがとうございます!ぜひよろしくお願いします」
アグネスタ達には既に決定事項のようである。
諦めてアルマティはジェロに相談するが、ジェロも皆が良いなら問題ないと追認する。




