ルグミーヌ王国からの旅人
「新しく開拓しているところ、魔物が出たら面倒だから、ディートマルやヘルツォークの騎士団員たちに巡回させているでしょう?」
突然、夜にリスチーヌから話を振られて戸惑うジェロ。
「あぁ。森の中を騎馬で駆ける練習にもなるし、日頃の訓練の延長で、少し近場を重点的にやって貰っているよね」
「それでね、そこでアルマティの魔術師団員たちとも交流が発生するでしょう?」
「あぁ、木の伐採などの開拓をしているのと魔物の討伐で互いを巻き込んで怪我をしないように連携が必要だよね」
「なんか、その両者で良い感じみたいでして。特にミュンヒ出身の隊長たち。ルグミーヌ王国とは地域も近かったから会話も弾んで親しくなるみたいなんですよ」
リスチーヌが楽しそうに話すのを見て、女性はこういう話が好きだなと改めて感じる。
「ジェロ様、聞いています?」
「あぁ聞いているよ」
「流石にアルマティは高嶺の花ということなんでしょうけれど、彼女たちならと彼らも思っているのかしら」
「ま、そっとしてあげておいてね。周りが言うことではないと思うから」
「あら。そういうことには疎いジェロ様がまともなことを」
「う」
「でも、そうですわね」
ユニオール皇国のきな臭い話のなかではあるものの、明るい話題がある方がありがたく思いつつ、そういう話題に対してうまく話せないジェロであった。
そんな中、またルグミーヌ王国からの旅人がやってくる。
メンヒルト王女のときと違い、衛兵も心当たりがないが、アルマティもしくはジェロたち夫妻の誰かをと言っているらしい。




