ユニオール皇国の資金対策3
「ユニオール皇国の商人たちの資金対策ですか?」
早速、御用商人になっているアナトマに来て貰う。元々はモージャンの街に拠点を構える商人だったはずだが、このテルヴァルデにいる時間も長くなっているようである。
「あ、モージャンの方は、頼りになる番頭にほとんどを任せるようにしているのですよ。そのうち娘リリアーヌの婿になる予定でして」
「そうなんですね。それはおめでとうございます。って、疑問が顔に出ていましたか」
「はい。そこがテルガニ様の良いところでもありますので」
さらに微妙な顔をしたジェロのことを笑える関係性は維持できているようで、ジェロとしてもありがたい限りである。
「で、本題のことですが。そうですね。皇国の方が怪しい空気感になっていることは存じております。となると、あちらの商人の皆さんが資金を待避、それもこのテルヴァルデを待避先、投資先に選ぶというのはあり得ますね。既に始まっているかもしれません」
「やはりそうですか」
「そういう私も、将来を見越してこのテルヴァルデの土地を購入させて頂いておりますので」
「はい、何となくは知っていましたが、そんなに?」
「テルガニ様のおっしゃる、そんな、になるかは分かりませんが。こちらとの大商いで適度な利益を頂けておりますので、その還元の意味も含めて。土地購入だけでなく店舗拡大や雇用など発展に貢献できればと」
「それはありがとうございます」
「で、対策はマドロール様のおっしゃったように開拓地を広げて、このテルヴァルデを発展させて、購入できる割合を減らすことが最適だと思います。それ以外に、ガニーのヤンクイユ商会の方も既にこちらに投資されていますように、親しい近しい方々にも投資して貰えれば良いかと」
「え、ヤンクイユ商会も、ですか?」
「はい。以前にご縁があったのですよね。私とはライバルでもありますが、侯爵家との取引はそれなりに上手く配分頂いている認識です」
最初の就職で失敗したところでもあり、孤児院の後輩のエマニックを引き抜いてしまった相手でもある。エマニックだけでなくブリジョゼ、ジェリーヌは昔の合コン相手でもあった。もし良い関係が築けているのであればありがたい。




