ユニオール皇国の状況調査2
ユニオール皇国の皇帝、長らく病にふせて寝込んでいたが、いよいよ危ないとの話である。となると、普通なら皇太子であるジャムスが後継者となるが、彼は文官系である。
武官系としては、第3皇子のマルキを推すことで勢力を維持したい。
「勢力維持をしたいことまでは分かるのだけど」
「下手するとクーデターまで?」
「まさか!」
「いえ、その可能性もありそうだというので、どこが戦火に巻き込まれるか分からないから商人たちは資産の待避に躍起になっているとのこと」
イドやリスチーヌも含めて、ついマドロールに聞いてしまう。
「皇太子って穏健で、譲位された後のことまで考えて武官たちの面子を潰さないようにワイバーン討伐の話をまとめられていたのに……」
「そのような方針が、他国に対して自ら戴冠式に赴かれるところに出ているのだと思うけれど。コンヴィル王国でも当時のフェリック王太子がラーフェンとベルカイムの戴冠式に行かれたわよね」
「皇国にすると、そのコンヴィル王国のような小国みたいな行動を、大国である自分たちの皇太子がしたことを弱腰だと言っているのかもしれません。ベルカイム王国でのムスターデ帝国との直接戦でも今ひとつでしたので」
「それって、それこそ武官の人達が頼りなかったからではないの?」
「当時も皇帝は寝込んでいましたので、皇太子の指揮が悪かったと話をすり替えている可能性も」
「状況は分かったけれど、このテルガニ侯爵家、侯爵領の運営にはどういう影響があるのかしら?」
そして、リスチーヌは肝心なところをマドロールに確認する。
「はい。考えられることは3点ございます」




